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吉成庸子物語「本と芝居と儀ちゃん」【2024年9月号2面】
2024-09-05
カテゴリ:コラム
大衆演劇のプリンスと言われている門戸竜次さんの芸能生活三十周年記念公演を終えてやっとホッとしている。
私は年三回位、お芝居や音楽会のプロデュースを手掛けている。本当は演出をやってみたいのだけど、いざとなるとやっぱり自信がなくそこまではやっていない。
きっかけは私の書いた本の何冊かが舞台化されたことだったかもしれない。舞台公演にとても興味を抱いた。
私は幼い頃から母や小母に連れられ存分色んな舞台を観て来た。母は若い頃新劇の女優さんをしていたらしい。そんな話亡くなるまで一言も聞いたことがなかったが、母の親友だった方から教えてもらった。
「そうなんだぁ」と私は何となく頷いたものだ。
母はよく新劇に連れて行ってくれた。もちろん、ミュージカルからクラシックバレエまでたくさん行ったけど新劇は難しくてよくわからなかったけど、やっぱり観劇は楽しかった。一方子供のいない小母は宝塚や歌舞伎によく連れて行ってくれたものだ。何しろ私は小さい時から本を読むのが大好きで、本当によく読書はした。大きな本ばかり集めた部屋があったので、子供には難しい大人の本などもよく読んでいた。ただ自分が書く様になるなんて少しも考えたことはなかった。
作文なんかはよく先生に褒められてはいた。だから学級新聞を作ることになった時も何人かのグループで始めたけど中身はほとんど私が書いていた。だから書くのは嫌いではなかったのだろう。ただ本を出したりなんてただの一度も考えていなかったのだ。
東京で学校卒業後、父に甘えて何も解らないのに、珈琲店や日本料理のお店をやって約十八年後全ての店をやめて結婚して千葉へ来て専業主婦になった私。無理矢理義理で入れられたカルチャースクールの宿題で書いた文章が出版社の方の目に留まり、本が出た。それがちょっと売れたので、すぐ二作目の注文が来てこれまでに十冊位出ているのかな? その中の何冊かがドラマ化されている。
亭主の儀ちゃんは私の事を「三文文士」と呼んでバカにしていた。でも「俺の悪口は書くなよ」言っていた。何度目かの芝居の時の主演は女優の岡田茉莉子さん。儀ちゃんは岡田さんの大ファンだった。私は「お父さん、ぜひ観に来て」と何度も誘ったが来なかった。その代りポスターの岡田さんの顔を何度も撫でてたけど…。
出版記念など何回かしたが儀ちゃんはいつも一番目立たない隅っこの席に大人しく座っていたっけ。でも私が本を書いたり、芝居をやったりすることに文句は言わなかった。ただ夜遅くまで原稿を書いていると「何時まで起きてんだ。早く寝なさい」と何度も怒鳴ったっけな。
掃除洗濯まるでダメ。料理もろくに作れない私。「どうしてこんな女房貰っちゃったんだろうなぁ…」といつもぼやく彼に私は「どうしても結婚して欲しいって言ったのはそっちの方でしょ」といつも言い返してやっていたっけなぁ。
私は年三回位、お芝居や音楽会のプロデュースを手掛けている。本当は演出をやってみたいのだけど、いざとなるとやっぱり自信がなくそこまではやっていない。
きっかけは私の書いた本の何冊かが舞台化されたことだったかもしれない。舞台公演にとても興味を抱いた。
私は幼い頃から母や小母に連れられ存分色んな舞台を観て来た。母は若い頃新劇の女優さんをしていたらしい。そんな話亡くなるまで一言も聞いたことがなかったが、母の親友だった方から教えてもらった。
「そうなんだぁ」と私は何となく頷いたものだ。
母はよく新劇に連れて行ってくれた。もちろん、ミュージカルからクラシックバレエまでたくさん行ったけど新劇は難しくてよくわからなかったけど、やっぱり観劇は楽しかった。一方子供のいない小母は宝塚や歌舞伎によく連れて行ってくれたものだ。何しろ私は小さい時から本を読むのが大好きで、本当によく読書はした。大きな本ばかり集めた部屋があったので、子供には難しい大人の本などもよく読んでいた。ただ自分が書く様になるなんて少しも考えたことはなかった。
作文なんかはよく先生に褒められてはいた。だから学級新聞を作ることになった時も何人かのグループで始めたけど中身はほとんど私が書いていた。だから書くのは嫌いではなかったのだろう。ただ本を出したりなんてただの一度も考えていなかったのだ。
東京で学校卒業後、父に甘えて何も解らないのに、珈琲店や日本料理のお店をやって約十八年後全ての店をやめて結婚して千葉へ来て専業主婦になった私。無理矢理義理で入れられたカルチャースクールの宿題で書いた文章が出版社の方の目に留まり、本が出た。それがちょっと売れたので、すぐ二作目の注文が来てこれまでに十冊位出ているのかな? その中の何冊かがドラマ化されている。
亭主の儀ちゃんは私の事を「三文文士」と呼んでバカにしていた。でも「俺の悪口は書くなよ」言っていた。何度目かの芝居の時の主演は女優の岡田茉莉子さん。儀ちゃんは岡田さんの大ファンだった。私は「お父さん、ぜひ観に来て」と何度も誘ったが来なかった。その代りポスターの岡田さんの顔を何度も撫でてたけど…。
出版記念など何回かしたが儀ちゃんはいつも一番目立たない隅っこの席に大人しく座っていたっけ。でも私が本を書いたり、芝居をやったりすることに文句は言わなかった。ただ夜遅くまで原稿を書いていると「何時まで起きてんだ。早く寝なさい」と何度も怒鳴ったっけな。
掃除洗濯まるでダメ。料理もろくに作れない私。「どうしてこんな女房貰っちゃったんだろうなぁ…」といつもぼやく彼に私は「どうしても結婚して欲しいって言ったのはそっちの方でしょ」といつも言い返してやっていたっけなぁ。