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千葉の近現代史を創った男「櫻井俊雄」の 世相を斬る【2025年1月号2面】

2025-01-09
カテゴリ:政治
好評
壁は103万円だけではない
衆議院議員の総選挙が終わってから、103万円の壁が注目を集めている。少数与党となった自民党が公明党と組んでも衆議院で過半数に届かなくなったことから、日本維新の会か国民民主党とさらに連携しない限り、国会審議を進められなくなったことに、端を発していると俊雄は言う。

103万円の壁とはこうだ。年間所得が103万円までは所得税が課税されない。103万円を超えると超えた部分に所得税が課税される。収入が増えたはずが税金がかかってくることから、かえって手取りが減るという逆転現象が起こり、それを避けるために103万円を超えないよう働き控えが発生するものだ。これが、労働量不足の一因になっていると、俊雄は指摘している。

これを解決する手段として出てきたのが国民民主党が主張している178万円の壁だ。壁を103万円から178万円に移動させるものだが、世間の大半がこれで問題が解決すると信じ込んでいるところが問題だと俊雄は頭を抱える。

年収が103万円の人には解決策でも、年収が178万円の人には新たな問題の発生に他ならない。壁がなくなるのではなく、壁が高いところに移動しただけだから、今度は178万円の壁をめぐって働き控えが発生することを、識者も政治家もなぜ気が付かないのかと俊雄は腹立たしい気持ちでいる。根本的な解決につながらないからだ。

ほかにも壁はたくさんあるという。①100万円の壁を超えると住民税が課税される。②103万円の壁を超えると所得税が課税される。③150万円の壁や④201万円の壁は、配偶者の所得がこれを超えると、配偶者控除が適用されず、収入が減ることを意味する。これら以外にも社会保険の壁も存在し、収入が増えると負担がそれ以上に負担が増えて、働き損になる壁はたくさんあると俊雄は考えている。だから、壁をいくらのところに設定するかではなく、壁が発生しない計算の仕組みに変えればいい。そこに手を加えるだけで問題は解決するのではないかと俊雄は断言している。

国民民主党は国民から多くの支持を得た。それで大きく躍進した。有権者の期待が大きい分、うまくいかなかったときの反動はすさまじい。かつての民主党政権の転落を見ればよく分かる。だからこそ、国民民主党には、根本を見誤らず、最大の効果を上げてほしいと俊雄は願ってやまない。

政治資金をめぐる問題がかすんでいるくらい衆目を集めている103万円の壁の問題は、単に働き損を解消することを超えて、様々な分野に飛び火している。あぶり出されたさまざまな問題が一日も早く改善されることを期待するしかない。

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