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千葉の近現代史を創った男「櫻井俊雄」の世相を斬る【2024年2月号2面】

2024-02-01
カテゴリ:政治,コラム,連載
「金があるところに派閥ができる」
作/竹田弥太郎
「ザ・自民党」とも、「昭和の選挙」ともいわれる選挙の最強の戦い方があるという。それが「どぶ板」とも「地上戦」とも呼ばれる戦い方だと俊雄は言う。
電信柱に頭を下げるとまで言われる伝説の戦い方だ。路地裏どころか、田んぼの中にもずぼずぼ入っていく。選挙区全域の冠婚葬祭にはすべて顔を出し、盆踊りや新年会は絶対に欠席しない。

市町村や地域の行事にとどまらず、様々な業界団体や資格者団体、地域の商工会の会合にも欠かさず出席する。出席すると会費が発生する。寄付は厳禁だが、会費名目で必ず納める。法律上は会費名目でも金銭の提供は禁止だが、支払わないと「会費名目なら大丈夫だ」と解釈している町内会の役員から「あの議員はケチだ」と噂を広められたくはないとの心理が働く。1か所5千円でも1日5カ所、ひと夏100カ所回れば50万円にもなる。秘書と手分けして回ればその何倍にもなる。政治家だけではなく、政治家の資金提供に抵抗を感じない有権者にも問題がありはしないかと俊雄は懸念している。

議員一人では全部に出席するのは不可能であることは誰にでもわかることだが、代理出席に公設秘書を動員しても、それでも十分ではない。だから、どうしても私設秘書が必要になる。私設秘書を多く抱えればそれだけ地元活動にきめ細かく対応できる。だからこそ、国会議員の秘書を公費で雇えるのは3人までであることに大きな問題がありはしないかと俊雄は考えている。
強固な地盤を持つ議員は大抵10名以上の秘書を擁しているが、3名を超える秘書の給与は全部議員の自己負担だ。そこに様々な会合への参加費や交通費など、費用はかさむ一方だ。ポスターを印刷するのにも貼るのにも、木枠を組んで立てかけるのにも費用は掛かる。何千枚も貼りだせば100万円単位の大きな費用が掛かる。政策ビラを全戸配布でもしようものなら大変な資金を要する。「ザ・自民党」的な強い選挙は、結局資金力に裏打ちされている。それが事実だ。極論すれば「資金力がすべて」になってはいないかと俊雄は深く考えている。

人は資金力あるところに集まる。資金力のない政治家は親分を頼るしかない。ここに「地盤・看板・かばん」のうちの二つが集約されている。政党支持率がいかに下がっても、「何があっても自民党」を貫く人の存在は、「何があっても〇〇党」の人より格段に多い現実は、ここに裏打ちされているのではないかと俊雄は考えている。

ネット選挙の解禁が選挙のあり様を大きく変えるかもしれないと俊雄は期待を寄せる。選挙運動自体がネット中心になり、投票所に行かなくて済む選挙制度が導入され定着するころには「昭和の選挙」の特徴が薄れ、様相が大きく変わって、町中にポスターを張ることはなくなるかもしれない。お金がかかる政策ビラの配布もなくなり、インターネットで極端に割安に訴えを届けることも可能だ。ここに政治家の盆踊り参加禁止でも導入すればいいのではないかとすら思えてくる。
次の時代は30年もすればやってくるだろう。すぐそこだ。対応を誤らない政治家だけが生き残ると俊雄は信じている。



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