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千葉の近現代史を創った男「櫻井俊雄」の世相を斬る【2024年3月号2面】

2024-03-01
カテゴリ:政治,コラム,連載
「寄ってたかって自民党」

作/武田弥太郎


それにしても「裏金」問題の影響はすさまじい。どうやら国会の政治倫理審査会が開催されそうで、自民党の最高幹部が引っ張り出されるかどうかに世間の注目が集まっている。多くの国民が「事実が明らかになる」ことを期待しており、「誰がいつ、いくらキックバックや政治活動費を受けたか」にとどまらず、自民党の幹事長が引き出す自民党の資金や、内閣官房長官が所管する使途自由、領収書不要の「官房機密費」がどう使われたかなど、政治と金をめぐる国民の怒りはすさまじいものがあると俊雄は言う。

岸田文雄総理が何を言っても国民に響かず、「火の玉となって」取組むどころか、「火だるま」になってしまったようだと俊雄は嘆く。政治倫理審査会を開催しても、万一最高幹部が出てこなければ国民の怒りは高まるし、出てきても答弁次第でも反発は高まるだろう。やり取りの中で新たな金をめぐる問題でも出てきたなら、それこそ自民党解体につながりかねない重大局面を迎えるかもしれないことは岸田総理もわかっていよう。だから野党も乾坤一擲、ここが勝負とガンガン攻め込んでいる。いつもは「批判しかしない」との評判の立憲民主党に対しても、世間の批判は巻き起こっていないのは民意を代弁している証しだと俊雄は感じている。

しかしながら、どのような形態であれ、支援組織があるところには、必ず資金支援もあることを忘れてはいけない。ある野党の支援組織は、議員の会報を高額の1枚単価で何万部も購入する形で資金援助し、購入した会報は団体員に配布せずポスティングに使ったりでこれまた支援に回したりしている。選挙の際のボランティアは無償だからという人もいるが、実は選挙の収支報告には無償ボランティアも日当〇〇円相当で計上しなければならず、大量動員のボランティアが連日稼働した場合、支出の上限を超えて当選無効になる場合があるものの、これまで問題になったことはない。選挙中のビラ配りや電話かけは選挙運動に該当するから報酬の支払いは買収にあたるが、労務作業の「正当な日当」名目で支払われることも多いものの、摘発されるケースはまれだ。

折しも所得税の確定申告の時期を迎えている。重税感を最も感じるこの時期にこの問題が起きていることで国民の意識をいやおうなしに高めているのだ。1円もごまかせない一般人の納税義務に対して、「上級国民」の特権のような政治資金にまつわる裏金問題は国民の怒りは買っても、決して理解を得られることはないと俊雄は言う。自民党の派閥の裏金問題を許すことができないのは当然のことではあるが、血気盛んな野党にも大いに反省してもらわなければならない。

自民党の不正を正していくのと同時に、野党にも何らかの政治と金をめぐる問題はあるのだから、そこも変えていかなければならない。どこの党であれ、お金があるところが選挙に強い現実は変えなければならない。それには私たちが選挙に関心を持つことが一番だ。今回自民党が慌てているのは、有権者について高をくくっていたのに、選挙の風向きが怪しくなってきたからに他ならないと俊雄は確信している。もしかすると、反省すべきは有権者なのかもしれない。
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