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千葉の近現代史を創った男「櫻井俊雄」の 世相を斬る【2024年5月号2面】

2024-05-03
カテゴリ:政治,コラム
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「税金と予算と政治の話」
令和6年度の千葉市における一般会計の予算は、5千94億円で過去最大となった。そのうち、千葉市民や法人が市に対して納める「市税」は2千54億円、気が遠くなるほど膨大な予算だ。あまり知られていないことだが、市民個人が支払う「個人市民税」は、本年度は918億円。つまり千葉市の市税のうち44・7%が市民の税金ということになる。

この何千億、何百億という予算を「どう使うのか?」を決めるのが、市長や市議会議員といった「地方政治家」の役割だ。しかし、私たち市民は、そのことにあまりに無自覚だ、と俊雄は嘆く。

税金の使い道の観点から言えば、市長と市議会議員の役割は明確だ。市長は、税金の使い道である「予算」を作成して、議会に「提案」する。市議会議員は、市長が「提案」した予算を「審議」して、「承認するかしないか」を決める。市長の仕事はイメージしやすい。それは、民間事業者における「社長」に近い内容だからだ。「市役所のトップ」といえば、「あぁ、社長みたいなものか」と理解できる。ただし、予算の使い方については、市長は議会に「提案」することしかできない、という特殊性がある。

そこで登場するのが市議会議員だ。市議会議員は、市長が提案した「予算」の使い方について、多数決をもって「やるか、やらないか」を決める仕事をしている。つまり、仮に市議会議員の過半数が、市長が提案するすべての予算を否決し続けたら、行政は完全にストップしてしまう。それほど強い権限、つまり「拒否権」をもっている議会だが、私たちはどれだけそのことに自覚的だろうか。

俊雄の知り合いの中にも毎回、同じ議員に投票し続けている人がいる。その理由を聞いてみたところ、「あの議員はうちの自治会でよく働いてくれるから」「地区のお祭りに必ず顔を出してくれるから」「親が応援しているから自分も」と答えたそうだ。

しかし、その議員が市の予算に対してどのように向き合い、どのような問題意識をもっているのかは、一切知らないし興味もないとのこと。もちろん、現在の千葉市のお金の使い方に満足しているならば、それでよいかもしれない。しかし、行政に少しでも言いたいことがあるならば、「市の重要議案」あるいは「自身が関心を持っている議案」に対して、市議会議員が「どう向き合い、結果、賛成または反対したのか」を報告していなければ、その議員には投票すべきではないと俊雄は考えている。

残念なことに、いつの時代も権力はたやすく腐る。何千億円という予算の使い道を決める「権力」を与え、運用させる前提として、議員や議会には、市民の監視が絶対に必要だ。

今回で最終回となる本稿のメッセージとして、俊雄はこう言っている。

自分の地域の市議会議員に会ったら、「現在、千葉市と千葉市議会の課題はどのようなことだと思いますか?」とぜひ聞いてみてほしい。そこで明確な答えが返ってこない議員は、議員の仕事を惰性でしている人物と判断してよいだろう。遠回りのように感じるかもしれないが、市民のそういった議員への問いかけが、議会の改善と、その先の市政改革に確実につながっていくのだ。

作/武田弥太郎


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